子どもの救命・防災

家庭での事故や災害。とっさの場合、対応に困ることが多いのではないでしょうか。小さい子どもがいる家庭なら尚更ですよね。

子どもの命を守るために知っておくこと、気をつけることなど、ママコミュサロン妙典主催の「家族を守る!救命・防災講座」にて、市川消防局南消防署の方にお話を伺いました。

119への通報の仕方

救急車を呼ぶ時、意外と難しいのが正しく通報することだそうです。
まず「火事」なのか「救急」なのかを伝える必要があります(どちらも119なので)。子どもの場合はお子さんの体重やふだん飲んでいる薬なども。
お子さんのことをきちんとしっておかないと、そうした情報を正確に伝えられないことがあるそうです。日頃から家庭で確認しておくようにしましょう。

自宅の住所や電話番号も、パニックに陥っていると正確に伝えられないことがあるそうです。
緊急時用に連絡すべき情報を一覧にして電話の近くに置いておくか、分かりやすい場所に貼っておくのがオススメ。
固定電話は通話が途切れても場所の特定ができるので、可能なら固定電話からかける方がいいそうです。

救急車で運ばれた際、その時点で異常が認められた箇所の処置しかしないので、後日外来受診をしてきちんと検査するようにしましょう。

消火器の使い方

消火器を使うにあたって、まず大切なのは自分の出口を確保すること。噴射した粉で前が見えなくなるそうです。

火事を発見したら「火事だ!」と叫んで周りに知らせることも大切。
119してくれたり、消火器を探して持ってきてくれる場合もあります。

炎が自分の背丈以上の場合は、消火しようと考えずに避難してください。

消火器を使う場合、ピンを外してホースを持ち、反対の手でレバーを押しますが、女性は力が弱いので自分の体重をかけ、その重みで押すと良いとのこと。
1回で15秒出続けるので、途中で火が消えても全て出し切ってください。

噴射はあっという間に終わってしまうので、ホースを持って火元まで3~5メートルまで近づいてから、しっかり狙いを定めて噴射してください。
慣れないとなかなか使いこなせないので、消火訓練の機会があれば参加して練習しておくと良いでしょう。
*いちかわ防災フェスタなどで体験できます。
(2018年度は10月に鬼高さんしゃ祭と同時開催)

家庭用の小さい消火器もあり、これだけでもあると安心だそうです。
ホームセンターなどで買え、値段は3~4千円くらい。使用期限は10年程度。
古くなった消火器の引き取りは消防署では行っていませんが、ホームセンターなどで引き取ってもらえるそうです。
*市内で引き取ってくれる場所一覧:
http://www.city.ichikawa.lg.jp/fir04/1111000025.html

消火器がない場合、お風呂の残り湯にバスタオルや毛布を浸してかけるのが手っ取り早いそうです。しかし火元が油の場合、水をかけるのは危険なのでやめましょう。

いずれにしても消火器でできるのは初期消火に過ぎないので、通報を忘れずに!

心肺蘇生法とAED

声をかけても反応がなく、息や胸の動きを見て呼吸がない、または正常でないと判断される場合、心臓マッサージと人工呼吸を開始します。
(人工呼吸が難しい時は心臓マッサージだけ行う)
心臓マッサージはベッドのような柔らかい場所ではなく、固い床の上などでやるようにしましょう。

AEDが調達でき次第、電源を入れてパッドを装着します。
AEDには新旧2種類あり、新式は自動で電源が入りますが、旧式は手動です。
新式は大人も子どもも同じパッドを使い、スイッチで切り替えますが旧式は大人と子どもでパッドを使い分けます。

旧式で子ども用のパッドがない場合、大人用で代用しても構いませんが、逆だと十分な電流が得られず効果が期待できないそうです。
この場合の子どもとは未就学児を指し、小学生以上は大人用を使うので注意してください。

AEDが来たらもう大丈夫というわけではなく、心臓マッサージと人工呼吸を続けることがとても大切だそうです。
心肺蘇生の技術はすぐに身につくものではないので、講習を受けるなどして緊急時に備えておきましょう。
*市でも講習会を実施しています。
http://www.city.ichikawa.lg.jp/fir06/1111000006.html

*心肺蘇生法についてはこちら:
http://www.city.ichikawa.lg.jp/fir06/1111000014.html
http://www.city.ichikawa.lg.jp/fir06/1111000022.html

災害時の備え

昨年は全国で多くの災害がありました。西日本の集中豪雨で被災した、小さい子どもを持つお母さんに、災害時になくて困ったもの、今後備えておきたいものを聞いてみました。

・ポリタンク
水は給水車が来てくれましたが、運ぶためのポリタンクが売り切れで困ったという意見が多かったです。場所を取るのでたくさん用意するのは難しいですが、折り畳みのものもあるので常備しておきたいですね。(折り畳みのものは、形がしっかりしていないため使いにくかったとの意見もありました。)
→ポリタンクに代わるものとして、段ボールにポリ袋を粘着テープで固定して運ぶこともできます。

・紙コップ、紙皿、割り箸、ラップ
食器が洗えないため、紙コップや紙皿が必要だったがどこも売り切れ。食器に敷いて使うラップなども不足した。
→食器を水で洗う代わりに、新聞紙を小さく丸めたものにスプレーで水を吹きかけ、使い捨てのスポンジ紙として使うと油汚れも綺麗に落ちるそうです。気になる方は仕上げにスプレーをしてください。スプレーは手洗いにも重宝します。

・体拭きウェットタオル
お風呂に入れないので子どもの湿疹やあせもがひどくなった。
→水で濡らしたタオルをレンジで温めて蒸しタオルにするか、清拭剤(薬局で買えます)を含ませたタオルで体を拭くことで、少量の水でも体を清潔に保てます。
・食料
災害時、すぐに食べられるおにぎりやレトルト食品などスーパーから消え、子どもに食べさせるものに困った。また、偏った食事のせいで子どもの便秘がひどくなった。飲み水は確保できたが、野菜不足になったので野菜ジュースが重宝した。

→食料の備蓄は「ローリングストック」という方法をオススメします。災害のために特別なものを買い込むのではなく、ふだん食べているもの、レトルト食品や缶詰なども含めちょっと多目に揃えておいて、古いものから食べていき、減った分を都度補充するというもの。これなら比較的消費期限の短い食品でも災害時の備蓄として使えますし、いざ食べようとした時に期限が切れている、ということもなくて済みます。災害時のストレス緩和用に、家族の好物やおやつなどを備えておくことも大事だそうです。

→水を加えるだけで食べられるアルファ米もあります。水の代わりにトマトジュースや野菜ジュースで戻せばリゾットにも。写真のような具入りのものも売られています。

そして、このような備蓄品をどこに備えておくかも大切なポイントです。玄関に置いていたため、いざという時に浸水して使えなかったという例もありました。よく考えて置き場所を決めましょう。
・何といっても困ったのはトイレ!
水がなくて一番困るのはやはりトイレですよね。トイレに行きたくないからと水分をあまり摂らず、脱水症状になった方もいました。

→トイレは普通に流すと、節水型のものでも1回5~6リットルの水を使います。タンクに1回分の水を入れてからレバーを引いて流していた方もいたようですが、断水時でも排水できるトイレなら、バケツなどで直接排水部分に流すと少量の水で流れます。その場合、トイレットペーパーは蓋付きのバケツなどに捨て、一緒に流さないようにしましょう。

→水を使わないトイレもあります!
断水時に排水できないトイレは、大きめのゴミ袋を2枚用意し、1枚は便座を上げてトイレ全体を覆うように被せ、便座を下げてもう1枚を被せます。新聞紙を細かくちぎったものを入れて用を足し、新聞紙に吸水させます。内側のゴミ袋を何重にもひねってからきつく絞ってゴミとして出します(出し方は各自治体に確認)。新聞紙の代わりにおがくずや猫砂でも代用できます。

災害時用の組立式トイレや、携帯用の簡易トイレも市販されています。高性能の凝固剤で排泄物を固めることができるので、こうしたものも備えておくと良いでしょう。
小便は何とかなっても、大便が…という話も多く聞かれました。
排泄物を捨てるのではなく、循環させるという考え方もあります。
今回の水害で、バイオトイレ(コンポストトイレ)作りに挑戦したお母さんもいました。市販品もありますが、家庭でもできる一番簡単なバイオトイレの作り方を紹介します。

1. 蓋付きバケツを用意し、やわらかい乾燥した土を七分目まで入れる。

2. 大便をスコップなどで細かく切り刻み、土に混ぜ込む。微生物が分解するので臭いもほとんどしないそうです。

3. 分解が遅くなり、土がべちゃべちゃしてきたと感じたら新しい土と換える。土は地面に埋め戻すと肥料になります。埋める場所がない場合はゴミとして捨てる。土の代わりにおがくず、コーヒーかす、ぬかなどでも代用可能。

この時、小便は別に用意したバケツにするなどして、大便と混ぜないのが臭いを発生させないコツだそうです。
いかがでしたでしょうか。
災害時に備えて、ふだんからできることはたくさんありますね。
災害が頻繁に起こるのは悲しく辛いことですが、せめてそこから学んだことを忘れずに、少しでも今後に活かしていきたいですね。



参考:
東京都 「東京防災」
朝日新聞デジタル 「災害INFO」
埼玉県イツモ防災 「防災マニュアルブック」
千葉県 「じぶん防災」
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